あの日、遙か遠く、忘れ去られた過去の彼方へと旅立っていった「貴婦人」…
1979年8月1日、熱いブームを呼んだC57 1号機が、
「みらい」号として、下関に帰ってきた!!
(ん?どこかで聞いたよなぁ、この台詞は…)
平成12(2000)年3月12日、雨上がりの少し寒い朝を迎えた「下関」
その時迄下関駅は、いつも通りの「通過点」の駅にしか過ぎなかった。
朝8時20分、営業所から山陰線に乗り、下関へ降りてみますと… せいぜい、(自分を含め)カメラ小僧や、 |
上り方向(小郡方向)から撮った様子です。 遠くから小さな汽笛が、「ポッ」と一声。 |
で、式典準備の様子を暫く見ていると、
「シュッ、シュッ、シュゥー」という
あの!!ドラフト音が近づいてきて…、
そこには!!
遂に、見参!!
1964年以来36年ぶり、山陽線にあの蒸気機関車が帰ってきた!!
当然この時間ですと、平常運転している列車が九州行きやら、 山陰線やら、山陽線…と頻繁に入れ替えします。 その為、信号待ちしなければなりません。 と言うわけで、暫く入れ替え線で待機中 |
信号が青に変わりました、「ポッ!」と汽笛一声。進行します。
さて、9番線に入ります。ん?後ろを見ると…
あれ?テールマークがありません。 |
9番ホームの指定箇所に停車完了です!!
さぁ出発まで、後一時間。
これからは、存分撮影時間があります
「えぇ?これが有名なあのSL「みらい」号?」 |
キャブからの蒸気がホーム天井に充満します。 |
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次は「カドリール」という、宮廷舞踊の披露です。 で、こんな舞台披露を余所に私は、と言いますと、 |
私と同様?、運転室では機関士さんが |
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光が足りなくて、一寸暗くなってしまいました。 火床は(鉄郎君の心の如く)赤々と燃えたぎっています。 出発まで、後40分。期待は高まります。 |
さてこの下関駅はどんな所でしょうか?出発前にご覧下さい。
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この下関駅は、世界最初の海底トンネルである「関門鉄道トンネル」が完成した 昭和17年に、この地に移設したのです。 丁度此の位置が東口(正面玄関)で、 左に見えるのがシーモール下関という、 下関大丸、専門店街、ダイエーの複合百貨店。 (ちなみに戦前までは、此処から国鉄の連絡船が出ていた) すぐ左側はバスターミナルです。 で、入り口中央にある歩道橋を渡りますと 韓国、釜山行き「関釜フェリー」の乗り場が右手にあり、 元下関駅のあった位置を目の前に、向こうを見ますと… |
上り側の右車窓からも見えますのが、 然し、最近は門司港に「門司港レトロハイマート」という展望台が出来て、 |
駅コンコースの中では写真展も行われてまして、
市内在住の方が撮影された写真とビデオの作品が展示されてました。
写真撮影されると、係員からにらまれそうだったのですが。(できたんですけどね)
此まで撮されてきたC571のパネル写真に、ポスターとC623の展示写真が数々と…。
こっそりC623を撮ったら、写真がぶれてしまいました。、
やはり「C62は自分で拝んでこい!!」と言う機関車さんのお告げか?
さて、ホームでは出発式が行われています。 環境庁が選んだ「残しておきたい音の風景」に |
ちなみに私にとっての「貴婦人」の復活は、
当時、漫画と、映画「999」の大ヒットと同時にやってきた、衝撃的な出来事でしたね。
(宇宙は飛ばないが)SLが実際に走る、と言うので
「あの漫画が、本当にSLを軌道に帰してくれた」って信じたぐらいです。
今でも、「999が誕生しなかったら、鉄道の歴史はどうなっていたか?」と
考えることがあります。
各地での蒸機復活の最大要因は、本当は999が作った?かもしれません…
たまたま、メーリングリストの方と対面していて、お話に夢中になる頃、 さて、いよいよ出発… |
さて、御客様も完全に入ってハンドベルの発車合図・・・
「出発進行!!」…の前に
市長様が今度は、なんと!! 「機関助士」として乗り込みます。 (一寸映像がぶれました、御免なさい!!) 機関助士の制服で来ると、 本当、そのまま乗り込んでもおかしくない!! 市の広報の方が記念撮影してましたので、 ちゃっかりと自分もシャッターを押しちゃいました。 |
そして…
「ブオオォォォ〜ッ」
五室諧和音の大きな力強い汽笛が、いつもより長く鳴り、
駅から遠くにこだまします…
大勢の人に見守られ、ゆっくりと進んでいく…、
市長様は皆様に手を振って応えていきました。
汽車は「誰も行かないみらい」へと旅立ちました…
真っ白い煙を高々と上げ、ドレンを勢い良く「シューッ!」と撒き、
どんどん加速していきました。
36年ぶりに、下関での「華麗なる勇姿」を私達に残して…
(感動ばかりして、嗚呼涙が…)
今一度、万感の思いを込めて、汽笛が鳴る
今一度、万感の思いを込めて、汽車が行く…
3/14読売新聞下関版より