19633(9600形19633号)


北九州市若松区…
筑豊線の終点若松駅右手に、昇降客を見つめ続けている物があります。

駅近くの久岐の浜広場に、
この機関車が置かれています。


実働55年、走行距離は2825,836km
地球を70周、
月まで3往復(こんな例えがあるのが凄い!)
走ったことになります。

軸配置 1D
シリンダー寸法 508×610mm
使用圧力 12.7km/平方cm
総重量 69.33トン
最大長 16.662m
最大幅 2.616m
最大高 3.813m
動輪直径 1250mm
最大馬力 928PS

然し、公団住宅の大きな公園に、どうしてこの汽車が置いてあるのか?
と言いますと、
この機関車の後ろには、…

若松操車場跡と記された碑があります。

明治24年、筑豊炭田から採掘された石炭を此処に運び、
国内外に輸送船で送り出すため、若松駅操車場が設けられました。
此処から直方までは、実は九州では2番目に敷かれた鉄道路線だったのです。
その後拡幅を経て、東西3kmの岸壁沿い35万平方メートルの敷地に、
機関区、工場、保線区が設けられ、1500人近くの人が働いていたそうです。

戦後のエネルギー転換政策前まで最盛期は年間1000万トンの石炭が船積みされ、
日本一の貨物取り扱い場だったのです。

その後、昭和57年にこの操車場はなくなったというわけです。

キャブはご覧の通り施錠され、中を完全に見ることができません。
然し所々見ると、車体の腐食が目立ちます。
海風による塩害のせいでしょうか?
前後とも、燈火類が無くなっているんですね、此も残念なのですが…。

 

嘗て、筑豊で多くの仲間が走った「クンロク」
大正生まれの旅客車の名機「ハチロク」が帰ってきた今、
「クンロク」が軌道にまた甦るのは何時のことでしょうか?
そして嘗ての蒸機の基地、
若松に汽笛が帰ってくるのも何時のことでしょうか…

 

→2007年撮影編に続きます